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Vol.03

「ひと手間」 にかける、信念とは。   —その歩み—

<インタビュー記事より>

賑やかな青山通りから路地に入り、3 分ほど進んだ閑静な通りに店を構える「BROOKLYN MUSEUM」。

創業38年、「良い物を大切に永く」をコンセプトに、ものづくりを続けている。
ソックスから始まったものづくりは、ファッション小物全般、革小物へと、その理念を伝えるため
に広がっている。
同ブランドが発信するメッセージからは、ユーザーにとっての「良い物」を追求し続ける姿勢が垣
間見える。創業者の草ヶ谷和久さんに、ブランドの「今まで」を振り返りながら、ブルックリンミュージアムの考える「良い物」について聞いてみました。

ファッション小物中心から革小物中心の展開へ

1984年 NY〈To Boot NewYork〉にて。オリジナルソック スの商談風景。

――BROOKLYN MUSEUM を創業された70 年代後半はどのような時代だったのでしょうか。

草ヶ谷 : 70 年代後半から80 年代にかけては、業界全体でナショナルブランド中心からセレクトショップ中心への移行期。ストアブランドの先駆けである店舗が出店し始めた時代でした。
「良い物を取り扱いたい。」という想いはあれど、扱うことの出来ない状況を解決する方法として、別注アイテムの製作をスタートしたのです。

この頃は、こだわりや想いの強いショップが多かったため、我々の「素材の開発も含めた企画提案」と、「ものづくりに対する姿勢」が、共感を得る事ができ、次第に展開は広がっていきました。 取扱いアイテムとしては、主にソックスベルトなどのファッション小物がメインでした。

――そんな中、ファッション小物メインから革小物メインへの移行は当初から想定していた流れなのでしょうか。

草ヶ谷 : 私達の取り扱っていたアイテムは、いわゆる服飾雑貨というカテゴリーのものです。入りこそはソックスの製作ですが、ソックスというものは単品のアイテムではありますが、全体のコーディネートを考えると、1コーディネートの大切な一部分なんです。
例えば、どんなスーツを着るかによってそれに合うソックスも変わってきますよね? だからまずは、トップスやパンツなどが決まらないとソックスを決めることはできません。
ソックス単品ではなく、あくまでトータルコーディネー トの中でのソックスを提案してきました。そうなってくると、自然とネクタイやベルト、カバンなど取り扱うアイテムが増えていきます。

良い物を作るためには、良い素材が重要になります。良い素材を使えば当然、価格にも反映されます。
しかし、ソックスを作る上で良い素材、例えば「シルクウール」。もちろん、肌触りが良く、はき心地は抜群。 シルクウールのソックスは洗濯機で洗うと縮んでしまうため、ぬるま湯で押し洗いをすると肌触りよく履いて頂けますが、繊細であることから取扱を丁寧にしなければならなかった為、その商品を取り扱う店が中々ありませんでした。
そこで、価格以上の価値を提供するには、と改めて考えた結果、当時我々の取り扱っていたアイテム展開では限界を感じ、そのような流れから革小物に特化するようになったのです。

自分たちの考える「良い物」を届けるための直営店

2002年 当時の青山本店。

――2002 年に、青山に直営店を開くに至った経緯を教えてください。

草ヶ谷 : 2000年以降ファストファッションなどの流行から、セレクトショップは今までより売り易いものばかりを求められ、値段の安いモノを作らざるを得なくてなってきたのです。
我々は問屋かつメーカーでもありましたので、依頼されたものを作らなくてはいけませんでした。
そこでまた、我々の考える「良い物とは何か?」を自問自答する日々が続きました。
問屋とは言え、最終的にはエンドユーザーの方に満足していただくことが理想です。だとしたら、自分たちが考える「良い物」を、自分たちで直接販売し、伝えていくことが一番なのではないかと考え、直営店へと至りました。
問屋と小売り、メーカーの機能を自社で持つことで、商品をより一層作り込めるようになったのは、ブランドとして大きな強みになりました。

良い素材を使っていることが「良い物」なのでしょうか。

――BROOKLYN MUSEUM が考える「良い物」とは何でしょうか。

草ヶ谷 : 世の中には、「良い物」の定義がないと思うんです。
A というお店では「売れるものが良い物」。B というお店では「有名なブランドが良い物」。C というお店では「良い素材を使ったものが良い物」。みんなバラバラなんですね。
良い物の定義がないから、世の中には良い物が溢れている。良い素材を使っていれば?有名なブランドだから?流行だから?これらに真剣に向き合った結果、我々はそれらが「良い物」であるという考えには至りませんでした。

我々が考える「良い物」とは、素材が良く、ものづくりと真摯に向き合った「ひと手間」を貫く事で、永く愛用できる品質。そして、いかに楽しく使え、人生を豊かに感じられるか。それがBROOKLYN MUSEUM が考える「良い物の定義」です。

物は、ひと手間を加えることでさらに良い物なります。これまで様々な経験をしてきたからこそ、たとえ良い素材を使っても、そのひと手間を怠ったものづくりでは「良い物」は生まれないと気付きました。
物でも料理でも「ひと手間」は価格に反映されますが、その「ひと手間」に価格以上の価値がある、と考えます。


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